厚生労働省がおこなった「平成30年雇用動向調査」によると、福祉業界の離職率は年間で15.5%でした。全職種の離職率14.6と比べると離職率の高い職業といえます。
また、介護業界自体が人員不足ということもあって常に求人募集がなされているのが現状です。そのため、介護職員にとっては就職先・転職先には困らない状態ともいえます。
しかし、就職・転職する職場選びを間違えると、せっかく入社した介護施設をすぐに辞めなくてはいけないこともあります。転職だけですめばよいですが、中には介護職員として働くこと自体が嫌になってしまうという人もいます。
では、なぜすぐに退職を考えるような状況になってしまうのでしょうか。
それは、就職・転職をする際に、自分にあった介護施設選びができていないことが原因です。
そこでここでは、「就職・転職するときに知っておきたい介護施設選びの3つのポイント」についてご紹介します。
1、条件を箇条書きでまとめる
まずは、あなたが就職・転職するにあたって、給料や休日数などの条件や職場への希望を箇条書きでよいので記入していきましょう。
もちろん、希望としては「休日は多くて給料が良い所」と考える人も多いでしょう。しかし、会社員として雇用される限り給料の金額には妥当性がなければいけません。給料の金額や休日の日数は、あなたがお住まいの求人情報をみておおまかな基準額を知ってから条件を定めることをおすすめします。
では、具体的にどのような条件をまとめていけばよいのかを以下にまとめます。
・給与
「月給18万~22万」「時給850円以上」というように具体的に決めておきましょう。また、収入額なのか手取り額なのかによって金額が大きく変わってきますので、それも踏まえたうえで考えておくことが大切です。
・賞与
給与と同様に賞与についても考えておくことが重要です。なぜなら、事業所の規模によって賞与の額も大きく異なるからです。たとえば、小規模事業所のみを運営する事業所であれば年2回の賞与で月給2ヶ月分程度です。一方、社会福祉法人や医療法人などの母体が大きな事業所であれば同じ年2回の賞与でも月給4~7ヶ月分程度の支給実績があるケースもあります。つまり、法人の規模によっては月給が同じでも年収額では大きな差が生まれるのです。
・各種手当て
給与や賞与のほかに、各種手当てがあります。介護職員でいうと「資格手当」「処遇改善手当」「役職手当」などがこれにあたります。同じ介護福祉士の資格を持っていても、勤める法人によって資格手当の金額は異なるのです。具体的にその金額は、3000円から10000円までと大きくばらつきがあります。
また、介護職員処遇改善手当は介護事業所であれば当然支給されるものだと考えている介護職員が多いですが、この手当ては勤務する事業所がきちんと必要な書類を提出して国に申請していなければ支給されない加算です。そのため、事業所によって支給される金額がことなります。
各種手当ては金額からみると少額かもしれませんが、毎月の給与に関わってくるものなので年間で考えると安易に捉えられないものです。
・勤務形態・勤務時間
介護職員として働く場合、通常の会社員とはことなり「夜勤」という勤務形態があります。常に利用者が施設にいる入居型では、365日24時間スタッフが必要です。そのため、介護職員の勤務体制も早朝から勤務する「早出」、日中を中心に勤務する「日勤」、昼から夜にかけて勤務する「遅出」、夜間帯を中心に勤務する「夜勤」という勤務体制をとっています。
もちろん、入居型の施設であっても日勤帯のみの勤務を希望することも可能です。しかし、募集状況によっては夜勤ができる求職者を優先的に採用するケースもあります。
また、求職者によっては家庭の事情などで1日8時間勤務が難しかったり、週3日などのように日数や曜日に条件があったりする場合もあります。このような条件も箇条書きで書き出しておくとよいでしょう。
・勤務地
勤務地は、通勤手段によってことなります。たとえば、車を持たない人の場合はおのずと自宅の近辺もしくは公共交通機関が利用しやすい狭い範囲になります。一方で、車通勤の場合は人によって範囲を広くすることも可能です。なぜなら、自分自身が苦痛に感じなければ通勤時間が1時間以上かかる場所でも通勤することができるからです。しかし、介護職員の場合、早出や夜勤などもあると考えると勤務地が自宅からあまりにも遠くなることはおすすめしません。できれば30分圏内が良いかと思います。
・休日
仕事も重要ですが、プライベートの時間も大切にしたいという人も多いです。年間を通して休日がしっかりととれるのかは重要なポイントではないでしょうか。日本では週休2日制度が当り前になってきていますが、実際は休日がとれていない事業所もあるのが現状です。また、法人によっては月8日休日のところもあれば、月9日休日のところもあります。さらに、有給休暇制度の取り扱いについても法人によってことなります。ハローワークなどの求人情報には休暇日数などが記載されていますが、実際に就職した事業所が人員不足状態であった場合きちんと休日がとれていないこともあるようです。そのため、有給休暇取得実績なども確認が必要になってくるかもしれません。
・待遇
キャリアパス制度
昇給制度
・その他
小規模がいい
利用者さんと外出したい
コミュニケーションの時間が多く欲しい
認知症を学びたい
一人暮らしの方を支えたい
介護職員としての経験値を上げたい
2、条件から施設の種類や規模を絞り込む
箇条書きした条件をもとに、あなたにあった介護施設の種類や施設や法人の規模を絞り込んでいきます。
絞り込んでいくためにも、まずは介護施設の種類を知っておくことが必要です。
以下に、介護施設の種類をまとめます。
3、自分の条件にあう職場をマッチングする
あなたの条件にあった施設の種類や規模を絞り込むことができれば、選択肢もおのずと絞り込まれてきます。もしかしたら、地域によっては条件にみあう事業所が1つということもあるかもしれません。
しかし、私が住む北九州市には市内のデイサービスだけでも500件以上あります。そのため、たとえ施設の種類を「デイサービス」で「小規模なところ」と絞り込んだとしても選択肢が10件以上残る場合もあります。
そこで、最後は自分と選択肢の職場をマッチングしていくしかありません。
では、マッチングとは具体的にどうするのでしょうか。
それは、事業所の雰囲気やその職場で働く他の職員、管理者の考え方が自分に合うかどうかを1つ1つ確かめていくという作業です。
この作業をするためには実際に事業所に出向かなければいけません。しかし、まだ就職をすると決めてもいない状況でわざわざ事業所を見て回る時間もなければ、事業所側にも申し訳ないと思う人が多いのではないでしょうか。
そこで、役に立つのがジョブケアぷらすのインタビュー動画です。