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介護職員の転職・就職をする前に知っておきたい介護事業所の種類

みなさんは就職活動をするときに応募する会社をどのように選択しますか?

まずは、自分が希望する職種や給料などの待遇、通勤範囲など就職する上での条件を決めてからそれらの条件に合う会社を探すのではないでしょうか。

同様に、介護職員の就職や転職を考えるとき、あなたが働く上で勤め先に求める条件を細かく挙げていくことが大切です。

たとえば、「勤務地」や「給料」「休日」「勤務時間」「社会保険などの待遇」などです。これらの希望をより具体的に決めていくことで、自分が求める会社像をより明確にすることができます。

そして、これら待遇面の他にも「介護事業所の種類」も忘れずに決めておくことが重要になります。

なぜなら、同じ「介護」という職種であっても勤務する介護事業所の種類によって介護職員に求められる仕事内容が異なるからです。また、実際に求人情報を閲覧すると「介護」という職種は特に人材不足なこともあって求人募集をしている事業所は多数あります。

現に、ハローワークの求人情報の内「北九州市 介護職」というキーワードで検索するとおよそ180件該当する求人が出てきました。(令和元年6月現在)

180件もの求人情報をひとつひとつ見比べていくことは時間も要すため難しいのではないでしょうか。

そこで必要になのが「介護事業所の種類を絞り込む」ということです。

では、介護事業所にはどのような種類があるのでしょうか。実際、介護職員として働いていても自分の事業所のことはわかっていても「他にどのような種類の施設があるのか」ということをよく知らない人も多いです。

そこで、ここでは「介護職員が転職・就職する前に知っておきたい介護事業所の種類」についてお伝えしていきます。

3つのタイプの介護サービス
介護職員が働ける介護事業所には、大きく分けて3つのタイプがあります。

1つ目は、「訪問系」の介護事業所です。訪問系の介護事業所は、要介護者(以下、利用者)の自宅に介護職員が訪問して、利用者の状態に合わせて必要な支援をおこないます。

介護を必要としている人の中でも、住み慣れた自宅で生活している方をサポートする仕事です。他の事業所タイプが大勢の利用者を対応しなければいけないのに対して、訪問系介護事業所は1人の利用者に集中して対応できるという特徴があります。

2つ目は「通所系」です。通所系の介護事業所では、利用者が自宅から施設へ通って食事や入浴などの日常生活に必要な支援を日帰りで提供します。

訪問系と同じように、在宅で生活している利用者を支援する介護サービスです。日常生活に必要な支援だけではなく、レクレーション活動や機能訓練などを通して在宅生活を続けることができるように利用者の機能を維持することもサービス提供の目的の1つとされています。

また、事業所によっては「お泊りサービス」を提供している事業所もあります。

3つ目は「施設系」の介護事業所です。施設に入居している利用者が日常生活を送る上で必要な支援をおこないます。

そのため、施設系事業所の介護職は365日24時間利用者の生活をサポートしていくことになります。

これら3つのタイプの内、「どのタイプにするのか?」という点を決めるだけでもあなたにあった事業所を絞り込むことができます。

しかし、実際は施設の種類はさらに細かく分かれていきます。特に、施設系事業所はしせつの種類によって介護職員の仕事量や内容もことなるため就職・転職をする際にはより詳しく知って絞り込むことがおすすめです。

「訪問系」の介護事業所
訪問系の介護事業所では、主に利用者の自宅に訪問して必要な援助や介助をおこないます。そのため、施設系や通所系の介護事業所と異なり、利用者一人に集中して携わることができるのが特徴です。

その反面、介助する場所が利用者の自宅であるために、利用者や同居する家族の生活習慣などにも配慮しながら援助をおこなうことが要求されます。

介護職員が転職・就職先として考える訪問系の介護事業所には以下のような事業所があります。
・訪問介護
・訪問入浴
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

訪問介護
訪問介護は介護職員が利用者の自宅に訪問して、生活援助や身体介護をおこないます。

具体的には、利用者の自宅を訪問して掃除や洗濯、調理などをおこなう「生活援助」と、入浴や排泄、食事の介助などをおこなう「身体介護」です。一回につき20分~1時間程度の訪問時間で決められたプラン(計画)に沿った援助をおこないます。

正社員として勤務する訪問介護員もいますが、パート勤務で「登録ヘルパー」として働いている人が多くいる事業所です。経験の長い方や介護福祉士の資格をもつ人は「サービス責任者」として、訪問介護員の仕事だけではなくサービス提供の調整などの管理業務も行うことができます。

訪問入浴
訪問入浴は、自宅での入浴が困難になった利用者を対象としたサービスです。利用者の自宅へ持ち込み式の浴槽を持参して訪問し、入浴介助だけではなく入浴後の水分補給や爪切り、軟膏や保湿クリームの塗布といったケアも必要に応じておこないます。

訪問する際は、介護職員だけではなくて看護師1名も必ず同行しチームで動く点が特徴です。入浴前には、必ず看護師がバイタル(血圧・脈拍・体温)を測定します。

チーム体制で訪問するため、一人での訪問介護に比べて相談できる相手がいるという点では安心感があるようです。ただし、利用者は介護度の重い方など寝たきりの方が多く、介護職員の介護技術を求められる現場でもあります。

プラスに捉えると、介護職員にとっては重度の方への介護技術や医療的なケアが必要な方への対応を学べる職場ともいえます。

夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、主に22:00~6:00の時間帯に利用者の自宅に訪問して必要な支援をおこなうサービスです。介護スタッフが定期的に訪問する「巡回サービス」と、利用者からの通報を受けてその都度訪問する「随時対応サービス」があります。

巡回サービスの仕事の内容は、一人暮らしの利用者に対して就寝時の見守りや夜間の排泄介助、体位交換、室温調整などです。その他にも、家族の夜間の介護負担を軽減する目的で入るケースもあります。一方、随時巡回サービスでは、主に夜間の転倒や体調の変化があったときの対応や救急搬送の手配などをおこないます。

日中の勤務がないため、「夜に働きたい」「昼間の仕事とダブルワーク」でという方にあう事業所の種類です。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、4つのサービスを提供します。

以下に4つのサービスをまとめます。
①定期巡回サービス
 一日をとおして定期的に自宅を訪問して介助等をおこないます
②随時対応サービス
あらかじめ利用者の心身状況や生活環境などを把握しておき、利用者や家族などからの通報を受けて、相談援助や訪問介護・訪問看護による対応を判断します
③随時訪問サービス
 随時対応サービスによって訪問が必要だと判断された場合に、利用者宅へおおむね30分以内に訪問して必要な援助をおこないます
④訪問看護サービス
 訪問介護と一体的に医療的なケアが必要な方に対して自宅へ訪問してサービスを提供します

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、事業所数の少ない種類です。事業所のほとんどはサービス付き高齢者向け住宅などに併設していることが多いのも特徴です。

「通所系」の介護事業所
介護が必要になった利用者が自宅などから事業所へ通ってサービスを受けることができる事業所が通所系の介護事業所になります。

介護施設の種類の中でも、通所系の介護事業所は事業所数がもっとも多く、転職や就職を考えている介護職員にとっては一番選択肢の多い種類といえます。

介護職員が転職・就職先として考える通所系の介護事業所には以下のような事業所があります。
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・療養通所介護

通所介護
一般的に「デイサービス」と呼ばれている通所介護は、介護事業所数がとても多くてそれぞれの事業所が特色を出して運営しています。そのため、通所介護の中でもさらに細分化されてきているのが現状です。

基本は、定員利用者数によって「大規模デイサービス」「通常規模デイサービス」に分けられます。しかし、介護保険制度が始まってからは短時間利用でパワーリハビリを売りにしている「リハビリ特化型デイサービス」などのように事業所によってサービスの内容がことなるケースもあります。

デイサービスでは、入浴や食事の提供、レク―レーションなどによる身体機能の維持などを目的にサービス提供がおこなわれています。そのため、介護職員はその日に勤務している複数人のスタッフと協力しながら入浴介助や食事介助、排泄介助を中心に利用者の見守りをおこなうことになります。

一方、短時間のリハビリ特化デイサービスでは「入浴」「食事」といったサービスはおこないません。そのため、介護職員は理学療法士や作業療法士の補助的な仕事がメインになります。

このように、同じデイサービスであっても介護職員の仕事内容はことなります。そのため、応募を考えている事業所がどのような特色を持つデイサービスなのか? という点も知っておくことが必要です。

通所リハビリテーション
「デイケア」とも呼ばれている通所リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士といった専門家によるリハビリテーションを受けることができる事業所です。

デイケアは事業所の母体となる病院や診療所と併設していることがほとんどです。他の通所系の介護事業所よりも年齢層が幅広く、左半身マヒの方など身体的介護が必要な利用者が多いケースもあります。

地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は「小規模デイサービス」とも呼ばれています。通常のデイサービスとは異なる点が大きく2つあります。

1つ目は、利用人数です。小規模デイサービスでは、一日の利用定員が18名以下と決められています。事業所によっては定員を10名にしているケースもあります。そのため、事業所の規模自体も小さく、建物も民家を改装したものが多く自然とアットホームな雰囲気を感じることが特徴です。

2つ目は、利用できる利用者の制限です。「地域密着型」とあるように、小規模デイサービスを利用するためは事業所の所在地と同じ市町村に住んでいることが条件になります。つまり、北九州市内の小規模できサービスには北九州市内に住民票がある方しか利用することができません。

認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護は、認知症を患っている人を対象としたデイサービスです。

一日の利用定員を12人以下にして、職員スタッフの人員配置を利用者に対して3:1に設定している点が特徴です。他のデイサービスとは異なり、利用者全員が認知症を患っているということから介護職員にも認知症ケアの専門性を求められる事業所といえます。

療養通所介護
療養通所介護は難病やがん末期などで常時看護師の観察を必要としている利用者を対象としたデイサービスです。そのため、利用者のほとんどが要介護4~5というように重度の方が多い点が特徴です。介護職員にも、介護の知識だけではなく医療的な観察能力を求められます。

ただ、一日の利用定員は9名以下で、他のデイサービスに比べて看護師の配置が手厚くなっています。したがって、医療的ケアにも安心して対応することができる事業所です。

まだまだ、事業所数が少なく北九州市内には事業所がないのが現状です。

「施設系」の介護事業所
施設系の介護事業所には、主に在宅での生活が難しくなった方が入居され必要に応じた介護を受けることができます。しかし、経費老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどのように要介護認定をもたない人、つまり自立の方でも入居できる施設もあります。

逆に、特別養護老人ホームのように要介護3以上といった介護度の重い方でなければ入居できない施設もあるのです。つまり、施設の種類によって介護職員の仕事内容にも差が出てくるということです。

このようなことからも、介護事業所の種類を知って、応募する求人先を決めることが大切になります。

介護職員が転職・就職先として考える施設系の介護事業所には以下のような事業所があります。
・経費老人ホーム
・ケアハウス
・サービス付き高齢者向け住宅
・住宅型有料老人ホーム
・介護付有料老人ホーム
・グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
・特別養護老人ホーム
・老人保健施設
・介護療養型医療施設

軽費老人ホーム
軽費老人ホームは、主に安否確認と食事を提供する施設です。そのため、介護が必要な人ではなくて、一人暮らしに不安がある人や食事の準備が難しくなった人などを対象としています。介護職員はほぼいない。

ケアハウス
ケアハウスは経費老人ホームC型とも呼ばれる施設です。軽費老人ホームと同様に、安否確認と食事の提供が主なサービスです。

ただし、ケアハウスの中でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設では介護サービスを提供しています。そのため、自立の方から介護が必要な方まで幅広い利用者が入居しています。

サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は通称「サ高住」とも呼ばれます。サ高住には、個室にトイレやバスルーム、キッチンといった生活に必要な設備が整っています。

そして「サービス付き」とあるように入居者の状況に合わせて食事や安否確認などのサービスを提供します。介護が必要になった場合には、併設しているヘルパーステーションや外部の介護サービスを利用しながら生活していくというシステムです。

そのため、サ高住単体で介護職員を雇うことは少ないです。ほとんどが、サ高住に併設しているヘルパーステーションやデイサービスでの勤務で必要に応じてサ高住内での仕事を行う形になります。

住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームはケアハウスや経費老人ホームと同じように、安否確認と食事の確保を目的とした利用者が入居する施設です。そのため、以前は外部の介護サービスを利用しても夜間のトイレ介助や認知症などで入居を継続することが難しくなると退去ン位なっていました。

しかし、最近は住宅型にデイサービスを併設して介護が必要な状態になっても住み続けることができるようにしているケースも増えてきています。

住宅型の介護職員は、主に夜間勤務や日中は併設しているデイサービスでの勤務がメインになると考えてよいかもしれません。