介護現場で働く人の中には、職場での人間関係にストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。
介護職はサービス業と捉える人も多いように、お客様である利用者様との関わりが主な仕事です。そのため、人との関わりで悩むのは当然なのかもしれません。
しかし、実は利用者様との関わり以上に他の職員との人間関係に悩んでいる人の方が多いのが現状のようです。
実際に、介護職員が過去の職場を離職した理由の上位3位以内に必ずと言って「職場の人間関係」が入っています。
ただでさえ人材不足が問題になっている介護業界です。事業所によっては人員不足で残業が続いているという所もあります。忙しい日常の中では、業務をこなすだけでも精一杯な状態です。その上、職場の人間関係まで悪いと「もう、辞めたい」と考えても不思議ではありません。
忙しい職場だからこそ人間関係を良好にして少しでも働きやすい環境にすることが必要なのではないでしょうか。
では、職場の人間関係を良好にするためには何をしたらよいのでしょうか。
もしかしたら、「そんなことは管理者やリーダーの仕事なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実は現場の職員ひとりひとりが意識を変えることが必要なのです。
そこで、今回は「介護現場でも使える人間関係のストレスを減らす方法」についてご紹介していきます。
なぜ、ストレスになるのか?
そもそも、なぜ人は人間関係でストレスを抱えやすいのでしょうか。
私が実際に介護現場で働いていたとき他の職員との間でストレスを感じたことを思い出してみました。
・自分だけがバタバタと動いているのに他の職員が気づいてくれなかったとき
・やっていてほしかったことができていなかったとき
・何度も同じことを注意しているのに変化がみられないとき
・時間をみて行動してくれずにうまく業務が回らなかったとき
今、思い返してみると「なんて自分中心的な考えをしていたのだろう・・・」と反省することばかりですが、当時は「どうしてわかってくれないの」「察してください」と思っていました。
このようなことからもわかるように、実はストレスに感じることのほとんどが「自分の考えをわかって欲しい」というものが根本にあるのです。
しかし、よく考えてみると「私が当り前と思っていること」と「相手の当たり前」は違います。にもかかわらず、以前の私は「私がバタバタしているのだから手伝いに来てくれるのが当り前」「言葉にして言わなくてもやるべきことはやってくれているはず」「以前注意したからわかってくれているはず」というように自分の考え方をもとに勝手に当たり前と考えてしまっていたのです。
実際、人間関係で起こるストレスの原因は内面的な要素がほとんどです。
たとえば、相手の性別や年齢、身長、体重、血液型などでストレスを感じることはありません。その一方で、相手の性格や行動、考え方などの内面的要素はストレスにつながりやすいです。
つまり、性格や考え方、行動パターンといった目に見えない部分は自分が基準になってしまいやすいために相手との違いが生じたときにストレスになってしまうのです。
ということは、自分と相手の違いを知ることで人間関係でのストレスを減らすことができるのではないでしょうか。
違いを知る
前項でも話しましたが、人間関係の中でストレスを感じる原因のほとんどは「自分と相手との違い」が明確になっていない部分でおこっています。
しかし、相手の性格や考え方、行動パターンを目でみることはできませんし、全てを理解するためには時間を要します。まして、忙しい仕事の合間に利用者様だけではなくて他の職員まで観察することは到底できることではありません。
そこで、私が活用している「ISD個性心理学」をご紹介しようと思います。
ISD個性心理学は、人間が生来的に持っているであろう気質に着目して、立体的にさまざまな角度から分類、分析することでできたものです。約10万人以上の統計データーを分析、検証を繰り返して人の個性を研究してきた統計学であり分類学に位置づけています。
植物の花という分類の中にも、桜や梅、松などさらに細かく分類されていくように、人間も男女や血液型、出身地と同じように「個性」という視点での分類があるということです。
では、ISD個性心理学では個性をどのように分類しているのでしょうか。
分類内容について解説する。
あきらかに認める
ISD個性心理学で個性の分類を知ることで、目ではみえない相手の考え方や行動パターンが少し理解できるようになります。
ここで大切なことは、相手を知ること以上に自分のことをよりもっと理解するということです。
そうすることで、「自分と自分以外の人は違う」ということをきちんと区別することができます。人とのコミュニケーションを円滑にするためには、まず「自分の考え」を中心に置かないということが必要です。
実はコレ、介護職員であれば皆さん学んできたことなんです。
「利用者本位」利用者様への対応は、介護職員の経験や考えを押し付けたものではなくて、利用者様のこれまでの生活習慣や生活歴をもとに利用者様に合わせて行うこと。
仕事の中では当たり前のようにできているものが、自分の実生活ではできていないのだということに私自身も最近気づきました。
確かに、認知症の症状がある利用者様の対応であればストレスにならないようなことでも、職員間ではストレスに感じてしまっていました。同じように、相手の行動に対して「なぜ、そのような行動をしたのだろうか?」と思った時に、「個性」という視点から考えることができれば「どうして!?」と思うことも減るのではないでしょうか。
つまり、自分と相手の違いを「あきらめる」のではなくて「あきらかに認める」ことで相手のことを受け入れることができるのです。そうすることで、自然と人間関係で抱えていたストレスも減らすことができるはずです。
実際に、私自身もISD個性心理学を学ぶことによって人との違いや自分自身の個性を前向きにとらえることができるようになりました。